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猫は非常に神経が繊細な生き物です。そのため、少しのことでも不安を感じてしまい、それがつのると問題行動を引き起こすことがあります。
それらのことを「分離不安症」と呼びます。ここではその症状や起こしてしまう行動、それらの対処法について説明していきたいと思います。
猫の分離不安症とは?
猫は自由気ままに動いているように見えますが、実は非常に決まった行動をパターン化して動いています。
その決まった行動が何かしらの理由で乱されると急に不安を感じます。
また、動物は親しい仲間と離れ離れになった際に極度の不安に陥ります。
別れに伴う不安は動物全般に見られる症状で、犬や猫、馬、牛など多岐にその症状が見られます。
その不安が極度な状態に達すると「分離不安」と呼ばれるようになるのです。
猫の場合は飼い主が離れた際、飼い主を探していても見つからない時、などに起こります。
次に分離不安症の代表的な症状をあげていきます。
「飼い主の足などにまとわりつく」
「トイレなどどこにでも必ずついてくる」
「目を合わせてずっとそのまま目を離さない」
「落ち着かずにうろうろとしている」
「急に大声で叫ぶ、鳴く」
「物を引っ掻く、壊す」
「自傷行為をおこなう」
「トイレ以外の場所で排泄する」
「急激に攻撃的になり引っ掻く、噛む」
「下痢や便秘などの病気になる」
これらのことが当てはまると分離不安症の疑いがあると判断されます。
大きく分けると「パニック系」と「意気消沈系」の二つに分かれています。
パニック系は声を出したり、飼い主にまとわりついたりして「飼い主や仲間を呼ぶ、かかわりを持つ」ことを目的として行動します。
意気消沈系は逆にエネルギーをしないようにしておとなしくなります。
異常なまでのグルーミングで傷を作ったり自分のしっぽをかじったりします。また、トイレ以外の場所で排泄することも起こります。
近年問題になっているものに「ペットの飼育放棄」がありますが、これは猫がこれらの問題行動をとったことで飼い主が飼育を放棄してしまうということです。
不安行動によって飼い主に必要以上につきまとったり、飼い主のベッドで猫が排泄してしまったことに怒った飼い主が猫の面倒をみなくなったり、猫を捨ててしまったりしてしまうのです。
分離不安症を治すには
分離不安症は身体的な怪我ではなく精神的な病気です。
そのために治癒するには時間がかかります。根気強く対処していきましょう。
まず、分離不安症になる原因の一つに「飼い主のかまいすぎ」というものがあります。
離れていた飼い主が猫に再会した際に、必要以上に喜んで抱きしめたり撫でたりすることで猫はそれを当然と考えていきます。
その分だけ飼い主が離れた際に不安を感じるようになるのです。これを治癒するには、猫がかまってほしいとアピールしてまとわりついてきても、かまいすぎないということが大切です。
まったくかまわないとそれはそれで不安を感じさせたりストレスが溜まったりしますが、かまいすぎることが猫のためにはならないということを心掛けましょう。
飼い主が猫と離れるときのパターンを覚えさせないというのも一つの手段です。
飼い主が出かけるときに猫に挨拶したり、帰ってきたときに大きな声をかけたりすると猫はその外出のパターンを覚えてしまいます。
すると、飼い主が挨拶をしたときに「飼い主がこれから出かける」ということを理解してしまい、不安を覚えてしまうのです。こういったパターンを覚えさせないことが重要なのです。
また、落ち着きがなく不安を持っていそうな猫はストレスを抱えている場合がほとんどです。
猫のストレス管理を行いストレスが溜まらないようにしましょう。
猫が不安そうにしたり飼い主がいないときには猫が遊べそうなおもちゃを置いておいたり、猫が安心できる柔らかい毛布などを与えておきましょう。
甘やかしすぎずに安心できる場所の提供と、猫が入ってはいけない場所を明確にしていおくことも重要です。
猫が不安を覚えるからといって飼い主の寝室などにも猫が自由に行き来するようになると、布団の柔らかさと飼い主がいない不安から猫が排泄してしまうことが多くあります。
実際にトイレ以外で猫が排泄してしまう場所で一番多いのが飼い主の寝床です。
猫が移動しても良い場所に猫が落ち着ける場所を作ってあげるようにしましょう。
まとめ
繊細で神経質な猫は些細なことでも不安を感じてしまうことがあります。
そして分離不安症になった猫はいろいろと問題行動を起こすようになります。
「攻撃行動」などは非常に明確に表れてしまいます。不安を感じて警戒心が高まっているところに何かしらの刺激が当てられるとその対象に対して攻撃を加えるというものです。
また、分離不安症の猫は下痢や便秘、血便などの病気になることも多くあります。
もともと猫は消化器官が強い方ではありません。これらがストレスによってダメージを受けた結果と言えます。
そして多い症状としてトイレ以外の場所で排泄するというものがあります。
これは猫にとっても落ち着かない行動ですし、飼い主の心身の負担を大きく上昇させてしまうものです。
猫が不安を感じないようにするには飼い主がつかず離れずの距離感を保たなければいけないために慎重に行う必要があります。
まったくかまわなくても、かまいすぎても駄目なのです。正しい知識を持って猫に接するようにしていきましょう。